小野恭子

現段階でもっとも包括的に推定しているJambeckらの論文によれば、日本が海洋に排出しているプラスチックは、一年で4万トンとされている(2010年、中位推計。環境省の資料では「2~6万トン」と記されている)。一方で、日本で一年間に発生するプラスチックごみ(以下、廃プラ)は、2010年で945万トン、容器包装関係に限っても450万トンほどである。 ちなみに4万トンという数字は「廃プラの2%が街中で散乱する」という仮定のもとに求められたもので、この仮定は、全米での実績値にもとづいているものの、世界中の国で一律としている。日本では「街中に散乱し」「やがて海に流れ出てしまう」ごみが全体の2%もあるとは考えにくく、もっと小さい値の方が個人的にはしっくりくる。Jambeckらも、埋め立てごみが適正に処理されている“高所得国”では、この2%という数字次第で結果が大きく変わることを指摘している。なお彼らは、「世界的には“不適切な廃棄物管理”による排出量のほうが大きい」とし、この量は、日本ではゼロである。 4万トンと450万トンという数字を見比べると、日本の廃プラは大きく見積もっても1パーセントしか海洋に流出しない、ということになる。つまり日本では、現時点のシステムがきちんと回っている限り、廃プラが海洋にそのまま出ることはきわめて考えにくく、レジ袋の有料化くらいでは大勢に変化はないことが容易に想像できる。